マサハレル也のハレルヤ日記

趣味で小説のようなものを書いてます

忍び逢い~4~ 


(サイトをやめよう、、、)

行けなかったのは自分の責任であり、タイミングが悪かった、それだけのこと

がしかし、それほどまでにマサハルのココロは疲弊していたのだ

変わらない日々

仕事や実家の用事に振り回され気分転換すらままならない

振り回される、という表現が正しいのかはさておき

マサハル自身はそう思い込むことでどこか今の現状に納得するようにしていただけなのかもしれない

そんな中で、もしかしたら束の間の現実逃避、、、それと何かしら癒しになったのかもしれない

何よりもどんなカタチであれ「会ってみたい」と相手に思われること、必要とされること

それが四十を過ぎた男にとって自信になったのかもしれない、それなのに、、、


ただ、一方でこういったサイトでの交流に限界を感じていたのも事実

相手の事を知らないまま出会い、意気投合してリアルに会う

その時限りで終る事はほとんどなかったとはいえ、家庭を持つ立場ならやはりいつか終わりが来る、、、

今まではそれを理解しないまま、その時の感情に流されて行動していたものだが今はもうそれほど若くない

これが潮時じゃないか、、、そう考えるようになっていたそのタイミングでこれだ


(辞め時か、、、そうだな)

もう迷う事はない

気がつくと、退会のボタンをクリックしていたマサハル


勿論、亜美の事が気がかりだったのは否めないし、あんなに会ってみたいと思った相手である

出来る事なら会ってみたかった、というのは正直な気持ちだった

それを振り切るようにするにはやはりこの方法が正しいのだ


そうして変わらない現実世界にまた身を投じる事になったマサハル

仕事に追われ、ペットの世話をし、週末には掃除をし、今や趣味となった料理の腕を磨き

またいつもの朝を迎える


平凡な日々だが、不満はない

「誰もがそうであるようで、案外とそうではない人も多い

平凡であることが不幸せだと思うのがそもそもおかしいのだ」

、、、などとつぶやくSNSを眺めて退会したことに慣れようとしていたマサハル


それでもやっぱり何かが足りない

心のどこかに彼女の存在が引っかかっていた

そう、、、亜美という女性が


彼女に恋をしていたわけではない

そこまでまだ相手の事を知っていないのである

ただ、、、会ってみたいと思い、実際に会おうとしていた相手である

それが叶わないままピリオドを打った、それが心のどこかに魚の骨のように引っかかっているのかもしれない




そうして数か月ののち

相変わらず忙殺の日々の中、ある時ふいにサイトを覗いてみたくなったマサハル

気がつけば再入会のボタンをクリックしていた


(久しぶりってほどじゃないから、、、そんなに変わってないな、当たり前だけど)


今まで通り静かにサイトサーフィンをしても良かったのだが久しぶりにもう一歩前へ出てみようと思ったのか

「戻りました」

というつぶやきを載せてみる

反応は期待していないかった

ただ、気分を前向きに変えてみたかったのだ

すると、、、

意外な人から反応があった

「おかえりなさい」

その人は、、、亜美だった


あのキャンセル劇があって間もなくここを退会したマサハルは内心、もしかしたら彼女に嫌われて(好かれていたという意味ではないが)しまったのではないか

そう思っていたからである

なので正直、嬉しかった


その流れで彼女のページを見ると少し様子が違ったようなので近況を聞いてみる

どうやら噂の彼氏との間で色々あったようだ

今までのように日記で絡んだりと出来なくなったのは残念だが、それでもまたこうやってやりとりが再開できたのは楽しかった

(再開、、、からの再会、、、って親父ギャグか!)

とくだらないシャレが脳裏によぎるマサハル


ともあれ、今は慌てることはない

まだ仕事が落ち着かない状況で会おうなんて話は図々しすぎる


(いや、待て、、、こういう時だからこそ会った方がいいんじゃないか)


何故かふいにそう思ったマサハルだが前回と同じ轍を踏むわけにはいかない

ここは慎重にタイミングを伺わねば、、、





(つづく)